香港の小口通関制度についてまとめてみた

香港の小口通関制度についてまとめてみた

通関手続きや各国の制度について把握するのは、輸出をするにあたってハードルの1つです。
今回は香港への輸出を考えている方向けに、小口通関制度についてまとめてみました。

概要

香港では、輸出入条例によって通関制度が定められており、輸出入した日から14日以内に税関申告を行う必要があります。しかし、個人使用物品や少額貨物などは輸入申告が免除されます。また、香港はフリーポートであるため、関税はかかりません。
フリーポートとは自由港とも呼ばれ、国際貿易において関税や輸入規制が緩和された特別経済地域のことを指します。
貿易の促進や国際投資の誘致を目的として設立され、国内外の企業に対して税制上の優遇措置や規制緩和が提供されます。これにより、国際貿易の効率化や経済成長の促進が期待されます。
香港の他にも、シンガポールやハンブルクなどが有名です。

通関について

香港の通関制度では、輸出入条例の第4条と第5条の規定に基づき、輸出入した日から14日以内に税関申告を行うことが求められています。ただし、以下の場合は通関手続きが免除されます(輸出入条例第3条)。

通関申告免除品目

  1. 携行持ち込みによる免税範囲の物品
  2. 国際郵便で内容物の価額が4,000香港ドル以下の小包
  3. 見本品(商業用サンプル、販促イベントで消費される製品)
  4. 販促品と明記され、無償で供給されるもの
  5. 見本品と明記され、当該製品の広告宣伝を目的として無償で配布されるもの
  6. 価額が1,000香港ドル以下で、広告宣伝を目的として使用されるもの
  7. 展示会用として輸入され、展示終了後は(税関職員が承諾のうえ)再輸出され、香港内での販売や廃棄されないもの
  8. ATAカルネ(物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約)の適用のもと輸入/輸出されているもの
  9. 贈答品(または商業的性格を持たない個人輸入等の場合)

通関申告免除品目であっても、貿易書類手続きや検証作業を容易にするために、運送業者に指示して該当する申告免除品目を積荷目録に明記する必要があります。税関は必要に応じて、証拠の提示を要求する権利を有します。以下の書類を用意しておくことが望ましいです。

  1. 積荷目録(マニフェスト)
  2. その他(輸入ライセンス、運搬許可(removal permit)など)
  3. 貨物保管通知書副本(detention notice)
  4. 船荷証券、航空貨物運送状など
  5. インボイス、パッキングリスト

関税について

前出の通り、香港はフリーポートであり、輸出入における関税はかかりません。
ただし、以下の4品目に対しては物品税(Excise duty)がかかります。

物品税対象品目

  1. 酒類
  2. タバコ
  3. 炭化水素オイル(ガソリン、ディーゼルオイル)
  4. メチルアルコール

旅行者が香港へ携行し持ち込む場合は免税措置を受けられますが、商用の場合、免税措置は適用されません。別送品に含まれる課税対象品目は、免税措置の対象外です。

免税措置を受けられる範囲

  1. 酒類: 18歳以上の旅客1人あたり1リットル以内のアルコール飲料(摂氏20度の状態でアルコール度数30%以上) ※香港のIDカード保持者がこの免税措置を受けようとする場合、香港外で24時間以上過ごすことで免税の適用を受けることができます
  2. タバコ: ・紙巻きタバコの場合:19本まで あるいは ・葉巻の場合:1本、あるいは25グラムのシガー葉 あるいは ・25グラム以内のその他タバコ製品

旅行者が上記免税範囲を超える課税品目、輸入規制品目、あるいは商用品目の数量を香港へ持ち込む場合は、税関に申告する必要があり、物品税が課せられます。

まとめ

以上が香港の小口通関制度と注意点についての概要です。

香港の通関制度は比較的緩やかですが、免税措置や通関申告免除品目については正確に把握し、適切な手続きを行うことが重要です。また、関税や物品税に関しても注意が必要です。特に免税措置や物品税対象品目については、適切な申告を行わないと違反とみなされ、罰則が科せられる可能性があります。

輸出入業者は、香港税関の規定や制度を理解し、適切な書類を用意しておくことが求められます。また、通関申告免除品目に該当する場合でも、運送業者に指示して該当品目を積荷目録に明記することが重要です。
税関は検証作業を容易にするため、証拠の提示を要求する権利を有しており、必要に応じて対応できるようにしておくことが望ましいです。

香港の小口通関制度や関税について理解し、適切な手続きを行うことで、スムーズな輸出入業務を行うことが可能となります。
ただし、変更の可能性もある通関制度や関税について深く把握することは大変難易度が高いため、信頼できる現地のパートナーや国内の海外進出支援企業の力を借りることが、海外進出の際のポイントと言えるでしょう。