UAEにおけるコスメ・化粧品のトレンドと輸出の際のポイント

UAEにおけるコスメ・化粧品のトレンドと輸出の際のポイント

アラブ首長国連邦(以降、UAE)に近年日本企業の海外進出先候補地としても多く名前の挙がるエリアです。
UAEの市場環境はどのようなものなのか。今回は化粧品のマーケットにフォーカスしてまとめてみました。

UAEの市場環境

UAEの化粧品市場は、独特の人口構成と購買力の差によって特徴付けられています。

UAEの人口は1008万人で、自国民(UAE国籍)は約11.5%と非常に少なく、外国人が85.5%を占めています。富裕層が多いイメージの市場ではありますが、購買力には大きな格差があるのが現状です。

また、男女比率では特に女性用の商品に対する購買層が非常に小さく思えますが、観光客や湾岸諸国からの買い物客などを考慮すると、市場は大きく広がっています。

UAEにおける化粧品の輸入状況

2021年度のUAE化粧品輸入額は31.3億米ドルで、1位の美容スキンケア・メイクアップ商品と2位の香水関連で約60%を占めています。欧米系の化粧品が圧倒的に多く、アイメイク・リップメイクが上位5か国で7割以上を占めています。

一方で最近のUAE市場では、アジアからの化粧品が注目を集めており、特に韓国製品が右肩上がりに増加しています。しかしながら日本からの輸入額は伸び悩んでおり、中国と韓国の化粧品は各カテゴリーで10位以内に入っているのに対し、日本からの輸入で10位以内に入るのは、アイメイクのみとなっています。

UAE市場に展開する際のポイント

では、UAE市場に化粧品を輸出する際にどのような観点が重要なのでしょうか。
「ターゲット」「マーケティング」「販売チャネル」「商品展開」の4つの観点からまとめていきます。

ターゲット

高所得層へのアプローチ

やはりUAE市場に展開する際に、一番重要なターゲットとなるのは高所得層です。
UAEの高所得層は高級ブランド品を好む傾向にあります。高級感のあるパッケージデザイン、限定商品などを通じて、高所得層の顧客に魅力的な製品を提供することがまず第一に重要なポイントとなります。

ミドルレンジ製品の展開

UAE市場では、デザイナーズブランドやハイブランドが主流ですが、ミドルレンジの製品の需要も高まっています。市場に参入する際は、VichyやUriage、Neutrogena、Andalouなどのブランドを参考に、高品質かつ手頃な価格の製品を提供することで、ターゲットを拡大していきましょう。

マーケティング

デジタルプラットフォームの活用

Instagram、YouTube、Facebookなどのデジタルプラットフォームは、消費者に新商品を試す動機を与える重要なマーケティングチャネルです。
インターネット普及率が高いUAEでは、デジタルプラットフォームでの積極的な広告活動や、美容ブログへの露出は有効なマーケティングチャネルとなります。

地域の美容インフルエンサーとの連携

日本同様に、UAEでもファッションインフルエンサーが大きく活躍の場を広げています。
Huda Kattanをはじめとするインフルエンサーとパートナーシップを結ぶことで、地域の消費者に対して製品の魅力を効果的に伝えることができます。

日本製品の特徴をアピールする

最近のUAE市場ではアジアからの化粧品が注目されており、特に韓国製品が人気です。また、中国製品もDragon Mart(UEAにある中国企業が集まったショッピングモール)などで販売されており、その認知を高めています。日本製品も伸び悩んでいますが、日本独自の技術や品質、デザイン、そして安全性をアピールすることで、競合に対して差別化を図ることができると考えられます。

販売チャネル

オンラインショップの展開

UAEではオンラインショッピングが一般的であり、多くの消費者が商品をオンラインで購入しています。越境ECを通じて販売を実施することで現地ニーズの確認を実施することが可能です。

商品展開

地元文化への適応

UAE市場で成功するためには、地元の文化や宗教に配慮した商品展開が重要です。
特に、イスラム教の規範に従ったハラール認証商品や、地域特有の美容習慣に適した製品を開発することで、市場での受け入れられやすさを向上させることができます。

ターゲットごとの商品展開

前出のミドルレンジの商品需要やインフルエンサー人気の要因に若い世代のニーズ拡大が考えられています。
UAEの若い世代はより個性的で洗練されたスタイルを求めているとされており、異なる世代の需要に応えるため、各年齢層やライフスタイルに合った製品を展開することが需要な観点となります。

まとめ

いかがだったでしょうか?
これらのポイントを意識することで、UAE市場における競争力を高めることが可能となります。
市場調査や競合分析を行いながら、自社の強みを活かした戦略を立てていくことが重要です。